本の覚書

本と語学のはなし

【第2回】「短歌の目」自作振り返り


 昨日朝早くに、はてな題詠「短歌の目」に出品した。だが一番ではなかった! 狙ってたわけではないけど。
 題詠はとりあえずスピードを重視したい。今回は極端すぎたが、できれば3、4日の内には仕上げる。時間をかけてもよいものは出来そうにないし、早くアップして他人の作品を読む方が楽しいので(アップするまでは読まないようにしている)。


 今回は10首を個別の作品として考えず、全体で一つの作品になるよう仕上げてみた。そのため、同じ言葉を数首にわたって使ったりしている。
 テーマは孤独、孤立、排除といったあたり。

10首振り返り(4月1日に書いたもの多し)

1.入
トントンッ「入ってますか」トンットン「入ってますよ」「そうですか、では」

 人の子には枕するところもなく、ウンコするところもない。

2.粉
粉を吹いた顔面たちが振り返る 脂ぎってはいけないのかい

 顔面を都合3度使った。
 レヴィナスの顔ほど高尚なものじゃないけど、まあ絶対的な他者みたいなもの。
 以降、短歌中の太字は重複して使われた言葉。

3.新学期
席替えをしたくらいでは消え去らぬ 放屁王子の新学期 いざ

 学生時代には一度屁なんかこいてしまうと大変だ。
 何が消え去らないのだろう。

4.フール
ベルギーが蘭攻撃と仏が言う そんなエイプリル・フールもあった

 フランスってこういうところがある。
 仏は「ほとけ」じゃないよ。仏さんもそういうところがあるかもしれないけど。
 詳しくは出品時の注釈を見てね。

5.摘
お客様 顔面摘出手術など保険適用できかねますが

 他者にとっての他者であると同時に、自己にとっての他者でもある顔面。
 顔面を失くしたいなどというのは当たり前。保険がきかないとはどうしたことか。

6.異
太陽は推定無罪 異邦なる子らの撃鉄海にかれて

 郷ひろみの歌じゃないよ。郷ひろみの下半身でもないよ。
 カミュ『異邦人』のイメージです。

7.花祭り
花祭り甘露飴でも嘗めますか 天上天下唯我独尊

 お寺に行って甘茶飲んでくるのはハードル高すぎ。
 甘茶は釈迦降誕時に八大竜王が祝って産湯に甘露を注いだという故事から来ている。
 ならば甘露飴でも嘗めて唯我独尊と気取っておこう。

8.あらたまの
ぬばたまの宵にひさいで売り歩く たまきはる世のあらたまの

 枕詞を3つ使ってみただけだね。

 ちなみにこの前、序詞(じょことば)に挑戦してみた。下品な歌が出来上がった。
 初句から3句までが序詞。詳しくは3月28日の記事を見てね。

   段田男ダダンボヨヨンおのののか小野真弓似か黛英里佳

9.届け
子らは嗤う 君に届けよにぎりっぺ 放屁王子の包皮は覆う

 統一感のある作品のためにとかいうと立派そうだけど、単なる手抜きの埋め草だね。
 2句以降はあわれな我らが放屁王子へのからかいがエスカレートしていく様子。

10.ひとつ
顔面はひとつながりで地を覆う 噛んでは嘗めて噛んでは千切り

 これは詠んだ本人も意味が分からないね。
 他者は他者でありつつ共同体を築く。その基本は互いに噛み合うことである、とか?