本の覚書

本と語学のはなし

死海文書 テキストの翻訳と解説/日本聖書学研究所


死海文書の入門は以前読んだ。土岐健治『はじめての死海写本』(講談社現代文庫)の感想はこちら。


▼今回読んだのは、死海文書そのものの翻訳である。
▼収録されているのは、宗規要覧(1QS)、会衆規定(1QSa)、祝福の言葉(1QSb)、戦いの書(1QM)、感謝の詩篇(1QH)、ハバクク書註解(1QpHab)、ミカ書註解(1Q14)、モーセの言葉(1Q22)、奥義の書(1Q27)、外典創世記(1QgenAp 第2欄・第19-22欄)、ダマスコ文書(CD)。
▼最後のダマスコ文書は死海文書ではない。発見されたのはカイロのゲニザと呼ばれる会堂である。しかし、宗規要覧やハバクク書註解と密接な関係がある上、クムラン洞穴4および洞穴6からも断片が発見されており、死海文書とは切り離して考えることができないという。


▼ダマスコ文書から。

だれも安息日に家畜の出産を助けてはならない。またもし水ためまたは穴に落ちても、安息日にそれを上げてやってはならない。(XI:13)

▼マタイによる福音書から(新共同訳)。

そこで、イエスは言われた。「あなたたちのうち、だれか羊を一匹持っていて、それが安息日に穴に落ちた場合、手で引き上げてやらない者がいるだろうか。人間は羊よりもはるかに大切なものだ。だから安息日に善いことをするのは許されている。」(12:11-12)