本の覚書

本と語学のはなし

購入2-2 クルアーン辞典

▼純粋に言語学的な辞書ではなく、神学的なバイアスがかかっているという意見もあるようだが、持たないよりは持つ方がいいだろう。
▼最初にアラビア語のリストがある。ありがたいことに、活用形から引くことができるようだ。するとその単語の基本形のページが指示されるのである。
▼例えば、クルアーン最終章の最初の単語Qulを調べてみる。基本形はQâlaであり、その説明は469ページにあると書いてある。469ページを開く。Qâlaはto speak, sayという意味であり、Qulという形はこの動詞のprt. m.sing. であると分かる。たぶんprt. は命令形imperativeのことだろう。男性単数への命令で「言え」ということである(これが男性中心主義なのか、単に人を代表させるのに文法上男性を用いるだけなのかは知らない)。
▼ちなみに、クルアーン114章1節の訳は「言え、『私は人々の主に守護を求めます』、」(作品社版 p.669)となっている。


Dictionary and Glossary of the Quran

Dictionary and Glossary of the Quran

  • 作者:Penrice, John
  • 発売日: 1990/06/01
  • メディア: ペーパーバック
▼これは慣れないと使いづらいかも知れない。Qulという形から引くことはできない。


▼購入前、出版社は違うし、タイトルもQuranがKoranとなっているけど、中身は同じだと思われるキンドル版のサンプルをダウンロードしてみた。
キンドルを開くと要充電のマーク。最近充電したばかりなんだが。しかも、充電しても充電しても、表示は変化しない。
▼調べたてみた。電源ボタンを長押して再起動すると(電源ボタンからでなくてはいけない)直るかもしれないという。早速やってみる。フル充電の印とともに蘇った。


▼正しい使い方とは言えないかもしれないが、紙の本を買いたいけど内容をちょっと確認してからにしたい、でも「なか見!検索」が使えないという時(あるいは使える時であっても)、キンドル版があるならば、そのサンプルをダウンロードすることがある。
▼たとえばコーランの和訳を買いたいとする。岩波文庫と中公クラシックスが候補に挙がるだろう。では、どちらの翻訳がいいのか。近くに品揃えのよい大型書店がなければ、普通はレビューを参照するかブログなどを検索しまくるしかないのだけど、幸い両方ともキンドル版が出ている。サンプルをダウンロードすれば、けっこうな量の翻訳を自分で比較検討することができるのである。
▼紙の本は電子化しうる情報だけで成り立っているわけではないけど、その先は届いてからのお楽しみである。