本の覚書

本と語学のはなし

アメリカの原理主義/河野博子

アメリカの原理主義 (集英社新書)

アメリカの原理主義 (集英社新書)

▼9.11以降のアメリカの保守回帰を追ったレポート。ブッシュ大統領の2期目、まだ中間選挙を迎える前に書かれたものだが、今でもアメリカの保守とそれを支える宗教思想を知るための良い入門書である。
▼明確な定義は知らないが、一般に原理主義とか福音派というと、聖書に書かれたことが文字どおり起こったことであり、起こるであろうことだという信条のことを指す。彼らが一般に受け入れられる宗教右派として一大勢力を築くにあたっては、アメリカを建国した清教徒の原理が利用された。彼らは連邦政府の干渉を退け、「世界政府」を忌み嫌い、アメリカの使命として自由の拡大に邁進しようとするのである。

宗教右派ネオコンの結合についての、ジョナサン・クラークの見立て。

福音派キリスト教信者の理論は、将来キリストは再臨し、いわゆるハルマゲドン、世界の終末における善と悪の決戦が起こる、とする。そしてその舞台となるのが聖なる地だ。キリストの再臨に先んじて、この聖なる地が維持されていることが重要で、そのためには、イスラエル国家が維持されていなければならない。従って、福音派のキリスト信者を中心とする宗教右派は強くイスラエルを支持する。ネオコンとして力を持つユダヤ系は、自らの宗教的信条としてハルマゲドンを信じているわけではない。しかし、彼らにとって、影響力が大きい宗教右派と組めば政治力を増すことができるし、宗教右派イスラエル支持は心強い限りだ」(p.188)


▼日本の福音派の人たちが同じような信条を持っているのかは分からない。だが、文字通りにハルマゲドンを信じているのであれば、やはり同じ理路を辿らなければならないのかもしれない。

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