本の覚書

本と語学のはなし

テンプル騎士団の謎/レジーヌ・ペルヌー

テンプル騎士団というと様々な伝説に彩られており、『ダ・ヴィンチ・コード』などでも聖杯伝説と結びつけられている。
テンプル騎士団は、十字軍の時代、聖地の巡礼者の安全を守るために作られた戦う修道会である。かつてソロモンの神殿があったところに本部を置いたために、テンプル(神殿)騎士団と呼ばれた。また、そうした事情のために、神殿跡で何かを発見したのではないかと常に憶測されてきたのである。
▼後世、カルトな団体の多くがテンプル騎士団の末裔を称するようになるが、彼らが異端であったというのも(実際に異端として滅亡させられたのであるが)、かなりあやしい話である。
▼この本の原題に「謎」の文字はない。邦訳で付け加えられたものであるが、かなりミスリーディングである。レジーヌ・ペルヌーは一貫して想像力の産物としての伝説を否定している。

▼このシリーズのよいところ。図版が豊富である。巻末の資料篇が面白い。