『Novum Testamentum Graece: Nestle-Aland 28th Revised Edition』。ネストレ・アーラントの第28版。
新共同訳やフランシスコ会訳の底本は聖書協会世界連盟の修正第3版となっている。これは実質、ネストレ・アーラント第26版と同じであるらしい。第27版と同一であると説明する人もあるので、恐らくその間にテキストの読み自体には変更がないのだろう。
私のような門外漢には、第28版で何が変わったのかはよく分からないが、ともかく最新のものを入手してみた。
聖書の原典講読をするなら、ホメロスやウェルギリウスは中止せざるを得ないだろう。古典文学かキリスト教か。コイネーとヘブライ語の学習を終えた時点でよく考えてみなくてはならない。
適当に開いたページの適当に指差した個所を引用しておく。
καὶ ἐπὶ τὴν αὔριον ἐκβαλὼν ἔδωκεν δύο δηνάρια τῷ πανδοχεῖ καὶ εἶπεν· ἐπιμελήθητι αὐτοῦ, καὶ ὅ τι ἂν προσδαπανήσῃς ἐγὼ ἐν τῷ ἐπανέρχεσθαί με ἀποδώσω σοι.
そして、翌日になると、デナリオン銀貨二枚を取り出し、宿屋の主人に渡して言った。『この人を介抱してください。費用がもっとかかったら、帰りがけに払います。』(ルカ10:35)
善きサマリア人のたとえである。「イスラエルの家の失われた羊のところにしか遣わされていない」(マタ15:24)と言ったイエスではあるが、その隣人愛においては既に思想信条の異なる異邦人を区別することはなかった。