本の覚書

本と語学のはなし

竜馬がゆく(八)/司馬遼太郎


 大政奉還の実現のために奔走し、事が成った後、中岡慎太郎とともに暗殺される。当初は新撰組の仕業と疑われたようだが、後に見廻組(役目としては新撰組と同じものである)によるものと判明する。
 確かに竜馬の政治的役割はここまでという気がする。維新後の政府の役人になるつもりは本人にもなかったし、実際それは竜馬の領分でもなかっただろう。だが、それは竜馬が決して大雑把な人間だったということではない。明治政府の基本的な方向は、竜馬の船中八策や過渡的な政府機構とその人事案によらなければ、あるいは全く暗礁を目指すことになったかもしれない。
 一旦は平和裏に行われた大政奉還であったが、直後に内戦へとなだれ込む。竜馬が生きていたとして、果たしてそれを止めることができたかどうかは分からない。


(一)http://d.hatena.ne.jp/k_sampo/20120912/p1
(二)http://d.hatena.ne.jp/k_sampo/20120916/p1
(三)http://d.hatena.ne.jp/k_sampo/20120922/p1
(四)http://d.hatena.ne.jp/k_sampo/20120928/p1
(五)http://d.hatena.ne.jp/k_sampo/20121008/p1
(六)http://d.hatena.ne.jp/k_sampo/20121016/p1
(七)http://d.hatena.ne.jp/k_sampo/20121031/p1


 これで『竜馬がゆく』全巻を終えた。次は新撰組を扱った『燃えよ剣』。竜馬亡き後の戊辰戦争も、五稜郭に至るまで描かれるだろう。
 当分、司馬遼太郎安部公房シェイクスピアばかりになりそうだ。和書をどう読んでいくかはまだ確定しているとは言えないのだけど、基本的には歴史一本に絞るべきじゃないかと思っている。

新装版 竜馬がゆく (8) (文春文庫)

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