本の覚書

本と語学のはなし

『源氏物語(一)』


●『源氏物語(一) 新編日本古典文学全集20』(阿部秋生ほか校注・訳、小学館
 「桐壺」から「花宴」まで。
 この全集は詳しい注釈と全訳つきで(ないのもあるようだけど)、初心者が読むにはとてもありがたい。私も『枕草子』と『源氏物語(一)』とで古文の心得をだいぶ仕込まれた。お金があればずっとこのシリーズを買ってもよかったのだが、現状を考えればそうもいかず、安く新潮日本古典集成を入手して、新編日本古典文学全集からは卒業する。


 注は新潮版で十分だ。小学館版では「筝の琴仕(つか)うまつりたまふ」のところに、わざわざ「帝の御前の行事なので『仕ふまつる』」と注意を喚起するが、敬語の使い方は『枕草子』以来手取り足取りさんざん教えてもらったところだ。もう注がなくてもそれだけで帝の存在まで立体的に読み取ることができるようにはなっている。今は基礎文法の説明は不要で、時代背景や本歌取りの薀蓄があればよい。
 訳は新潮版があれば不要であるけど、いざという時のためには、角川文庫の玉上訳で間に合う。小学館版で便利だと思っていた各巻ごとの人物相関図や年立なども、昨日も書いたように*1、角川文庫版に同様のものが付録として付いていた。


 引き続き新潮版の『源氏物語(二)』を読む。こちらは「紅葉賀」から「明石」まで。
 「花宴」で源氏は朧月夜と関係を持つ。「六は春宮にたてまつらむとこころざしたまへるを、いとほしうもあるべいかな」とあった、右大臣の六の君である。さて、次の「葵」では、既に桐壺帝は引退しており、春宮(右大臣方の弘徽殿腹であって、藤壺の子、即ち源氏の子ではない)は朱雀院として帝位に就いている。やがて朧月夜との関係は、源氏不遇の因をなすであろう。

新編日本古典文学全集 (20) 源氏物語 (1)

新編日本古典文学全集 (20) 源氏物語 (1)

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