本の覚書

本と語学のはなし

『竜馬がゆく(二)』


司馬遼太郎竜馬がゆく(二)』(文春文庫)
 尊王攘夷を、藩体制の枠組みはそのままに推し進めようとする動きに飽き足りない竜馬は、とうとう脱藩する。日本を一つにするには、幕府を倒すだけではなく、藩もまた潰さなくてはならない。藩内のクーデターなどでは何も根本的に変わりはしない、と。


 職場で読むには最適な文章だ。100ページも進めば御の字と思っていたら、今日はその倍も読んでしまった。客観的記述の近現代史も別にきちんと学ぶという条件付きで、司馬遼太郎を片っ端から読んでゆこう、という気にもなった。
 しかし、司馬ファンには申し訳ないけど、何だか空しさに捉えられる折々のあることを誤魔化すこともできない。歴史のうねりを皮膚で感覚できるのは、申し分なく面白い。繰り返しも脱線も主観も、意見は分かれるだろうが、私は好きだ。だけど、芯から私に響くものはない。歴史好きではない、ということなのだろうか。
 もともと職場での読書に多くを期待するべきではないとするならば、その中で最善のパフォーマンスをしてくれるであろう司馬遼太郎を重宝がるべきだということになる。もう少し試行錯誤は続きそうだ。

新装版 竜馬がゆく (2) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (2) (文春文庫)