本の覚書

本と語学のはなし

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 『原文対照現代語訳 道元禅師全集 第八巻 正法眼蔵8』(春秋社)を購入。ここから『正法眼蔵』は12巻本に入る。担当者は水野弥穂子から石井修道に変わった。恐らく当初から予定されていた交代ではない。75巻本の終了する第七巻が出版されたのが2009年12月。翌年の1月に水野弥穂子は亡くなっているのだ。
 全集の刊行が始まったのは1999年。『正法眼蔵』は3年後の2002年にスタートした。その時既に水野は80を超えていた。これまで幾度も『正法眼蔵』の校本を世に出し、詳しい注釈を付けてきているとは言え(現在の岩波文庫版も水野弥穂子校注である)、全訳するとなると相当なパワーが必要なはずで、大丈夫だろうかと懸念はしていた。最初の3冊は2、3年おきに刊行された。2009年に立て続けに4冊刊行され、75巻本の完成を見ると、2010年に入って直ぐに88歳で亡くなった。
 難解と言われる『正法眼蔵』だが、道元晩年の12巻本は誰でも理解できる平易な言葉で書かれており、お経からの引用も多い。これをどう見るかは意見の分かれるところだが、水野は尊い境地と考える方の学者だった。本当は12巻本まで自らの手で訳したかったのではないか。どのような事情があったかは知らないが、2009年の4冊の仕事に、死期を悟った学者の最後の執念が感じられるようだ。


正法眼蔵 (原文対照現代語訳 道元禅師全集)

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