本の覚書

本と語学のはなし

大学時代の本の覚書(3)


■秋月龍萊『一日一禅』
 禅の最良の入門書だと思う。有名な公案はほぼ網羅。道元を読むときにも役立つ。何度読み返したか分からない。
一日一禅 上 (講談社現代新書 473) 一日一禅 下    講談社現代新書 474 一日一禅 (講談社学術文庫)


■『臨済録
 色即是空ときたら空即是色と続かなくてはならない。そこのところに私の青年時代の危機があった。分かることは分かるのだが、「どのように」ということをついに禅は私に教えてくれなかったように思う。
臨済録 (岩波文庫)


■『聖書』
 『聖書』を、神を、私は禅から解釈していたに過ぎない。ただ「どのように」ということを得るためには、禅から飛び出さなくてはならないと思っていたのだ。「私の兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、私にしてくれたことなのである」(マタ25.40)。私の理解していた図式は破壊された。一週間、神の、教会の、記憶の奥底に埋もれていた聖母幼稚園の黄金のキリスト像の、夢を見続け、とうとう受洗した。今でもキリスト教徒としてものを考えていることがある。
小型聖書 DUO(緑) 旧約続編つき - 新共同訳 聖書 新約聖書


モンテーニュ『エセー』
 教会で出会った「天使を見る」女性が私の部屋を占拠しようとした時、私はシャノワールに逃れて『エセー』に読み耽っていた。ギリシアやローマの古典は、ごつごつした不器用な指で繙くべきではない。宗教的という意味ではなく、宗教との距離の取り方において、カトリック精神の見事な見本である。恐らく大学時代のナンバーワン。
エセー 6冊セット (岩波文庫)


夏目漱石『坊ちゃん』
志賀直哉『和解』
 実家に戻る前に読み、ひたすら涙を流し続けた。最後は嗚咽であった。
坊っちゃん (新潮文庫) 和解 (新潮文庫)