本の覚書

本と語学のはなし

『枕草子』


●『新編日本古典文学全集18 枕草子』(松尾聰・永井和子校注・訳、小学館
 富井健二の2冊の古文参考書*1を終えて何か読んでみたくなり、たまたま持っていた小学館の訳注つき全集の『枕草子』を始めたのが昨年の9月4日。*2慣れるにしたがいスピードもアップして、 当初は1年くらいかかるんじゃないかと思っていたところを、途中の中断を含めても5か月で終えることができた。 
 私は高校時代に『徒然草』を愛読した。あの時『枕草子』を選んでいれば、もっと古典の力が付いたはずだ(たぶん『徒然草』を手にしたのは小林秀雄の影響だろう。モンテーニュより深いとかなんとか言っていた)。いろいろ難しいことはあるのだけど、詳しい注釈と現代語訳を参照するという条件つきで、古典読解に必要な様々な知識と能力を養うのに最適な本だと思う。


 『枕草子』といえばものづくし、あざやかな感性、時々嫌味なくらいの才気などのイメージが強いけれど、実際に読んでみると、中宮定子を中心とする宮廷生活こそがその核であり、すべてはそこを拠り所として発露しているのだという気がする。中の関白家の絶頂と没落、定子の早すぎる死を経て、なお「をかし」の世界だけを描き続けた『枕草子』には、表面的な軽さそのものを通してそれを越えつつ、「あはれ」に通じる道がある。


 今後の古典の予定。『萬葉集』巻一を片付けた後(あと少し)、こちらも読みさしになっている『小倉百人一首』を一気に読了する。続いていよいよ『源氏物語』桐壺。興に乗って続きを読むか、いったん『道元禅師全集』第17巻に手を出すかは、その時の気分で。
 だが、そろそろ私の本分は英米文学とフランス文学であることを思い出さなくてはいけない。古典はゆっくり読めばいい。


 今日の雪かきは2時間。筋肉痛にはならないが、指の関節、手首、ひじ、ひざ、かかとなどが痛み出しているので、長くやりすぎるのは禁物だ。

新編日本古典文学全集 (18) 枕草子

新編日本古典文学全集 (18) 枕草子

  • 発売日: 1997/10/24
  • メディア: 単行本