本の覚書

本と語学のはなし

『ホーソーン短篇小説集』


●『ホーソーン短篇小説集』(坂下昇編訳、岩波文庫
 ゴシック小説はあまり好きではないのだけど、リンチとか魔女裁判とか近親相姦とかの狂気は、ホーソーンの血の歴史であり、土地と時代の反映であり、怪しげでありながらもずっしりと重みがあって、時々いらいらすることはあったが意外に面白く読めた。
 ある日誰にも言わずに家を出て、隣町に部屋を借りて20年住み続け、その間自分の家や妻を毎日のように眺めていたという、奇妙な「ウェークフィールド」。風の子の幻想が宮澤賢治を思い出させる「雪少女」。この2編が特に好き。


 しばらく日本語の本は読まず、原典に集中したい。

ホーソーン短篇小説集 (岩波文庫)

ホーソーン短篇小説集 (岩波文庫)