本の覚書

本と語学のはなし

『ボリス・ゴドゥノフ』


プーシキン『ボリス・ゴドゥノフ』(佐々木彰訳、岩波文庫
 120ページほどの史劇。薄さへの逃避だ。プーシキンは読めば面白いことは分かっていたけど、これまでなんとなく手が伸びずにいた。これが初めてのプーシキン。猛暑の効用である。
 時代は16世紀末から17世紀初頭。イヴァン雷帝の系譜が途絶え、ロマノフ朝が興るまでの混乱期である。皇太子を暗殺して帝位に就くボリス・ゴドゥノフ、皇太子は生きているという民衆の噂を利用し皇太子を僭称して反乱を企てるグリゴーリイ、皇太子が本物でないことを知りつつもゴドゥノフ朝打倒のために利用するプーシキンの先祖ら、ゴドゥノフ朝の崩壊を願っていたにもかかわらずボリスの二人の子が毒をあおって死んだラストシーンでは新皇帝のために万歳を唱えず沈黙した人民。興味深い人物は多々出てくるけど、この人民の沈黙に至って劇の主人公が誰であったのか明瞭となる。


ボリス・ゴドゥノフ (岩波文庫)

ボリス・ゴドゥノフ (岩波文庫)

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