本の覚書

本と語学のはなし

『幽霊船 他一篇』


ハーマン・メルヴィル『幽霊船 他一篇』(坂下昇訳、岩波文庫
 部屋の整理に4日を費やし(売る予定の本を段ボールに詰めるところまででいったん終了)、火曜日から読書を再開したのだけど、毎日異常に頭が重くて集中できない。直ぐに眠くなる。せっかくのメルヴィルだが、無理やり読み終わらせた感じだ。
 『幽霊船 他一篇』は表題作の他に「バートルビー」を収録する。
 「幽霊船」は実話をもとにした作品。登場するのは本物の幽霊船ではないが、なにやら謎めいている。読み終わってみれば「幽霊はわれわれ自身であることを思い知らされるはずである」と訳者は言う。
 「バートルビー」の方は「ビリー・バッド」*1に似たテイストの作品。ビリーと同じように白痴めいたところのあるバートルビーは、何を頼まれても「ぼく、そうしない方がいいのですが(I prefer not to)」と答える。やがてこの世との融和を得られぬまま、孤独に死んでいく。いろんな人が刺激を受けて評論し、創作し、指示をしている作品なので、ぜひ読んでおきたい。現在入手可能な翻訳は、ジョルジョ・アガンベンバートルビー 偶然性について』(月曜社)に付された高桑和巳訳、「モンキービジネス」創刊号(ヴィレッジブックス)に掲載された柴田元幸訳がある。岩波文庫の坂下昇訳は今月の復刊なので、買うなら早目の方がよい。


 次は先日購入したジョイスの『ユリシーズ』第1分冊を読むべきところだが、この暑さに集中力が持続しそうにない。しばらく短篇で様子見をすることにしよう。先ずは『ホーソーン短篇小説集』。坂下昇の翻訳も猛暑のさなかに読むべきものではないという気はするけど。


幽霊船 他1篇 (岩波文庫 赤 308-5)

幽霊船 他1篇 (岩波文庫 赤 308-5)

広告を非表示にする