本の覚書

本と語学のはなし

ダロウェイ夫人

 What a lark ! What a plunge ! (p.5)

 なんという晴れやかさ! 大気のなかへ飛びこんでいくこの気分! (p.11)


 5月29日に引用した部分*1の直後の文章。この場合の lark はヒバリではなくて、はしゃぐこと、おもしろいことという意味。英英辞典を見ると「a thing that you do for fun or as a joke」と説明されているから、能動的な所作を含意するものらしい。
 もう自己解決しているけど、「晴れやかさ」という訳が気になっていたので、銀行に行ったついでに本屋に立ち寄り、他の訳を見てみた。角川文庫の富田彬訳は「ああ愉快! 気持ちのいい跳びこみ!」。その通りなんだろうけど、硬い感じがする。光文社古典新訳文庫の土屋政夫訳は「愉快、爽快」。単純明快! さすがに換骨奪胎の新訳だけあって、その後に続く文章も細かく刻んで順番を入れ替えてあった。見事なお手並みというべきなのかどうか、私には分からない。
 なんにしろ、原典講読をしながら時々参考にする翻訳としては、丹治愛訳が一番よさそうだ。よかった。

広告を非表示にする