本の覚書

本と語学のはなし

思い立って


 新たに始めたもの。
 馬場敬之『合格!数学Ⅰ・A』(マセマ)。3度目。普段と違う頭の使い方をするのは楽しい。
 佐々木高政『和文英訳の修業』(文建書房)。基本文例集は飛ばす。私の年代であれば、鈴木長十・伊藤和夫『基本英文700選』(駿台文庫)で訓練したところだ。基本的な構文は頭に入っているものとして、基礎編と応用編で具体的な英作文のノウハウを学ぶ。
 大賀正喜『現代仏作文のテクニック』(大修館書店)。これは上級編。大賀の信条は、書く前にたくさん読め。読んでから書くことでキメの細かなフランス語の襞が見えてくるようになる、それがまた読む力に跳ね返ってくる、という相乗効果が期待できるそうだ。
 いずれも急ぎではいないので、暇を見つけながら少しずつ進めていきたい。しかし、労力は使いたくないので、読むだけで手は使わないだろう。


 20代後半、病院の事務を辞めた後、公務員試験を受けるために1年間勉強していた。その時の大きな収穫といえば、世界史と日本史と政治経済と英語の基礎を身に付けたこと、久しく読めなかった文学に再び目覚めドストエフスキースタンダールを読んだこと(3年位前、突発的に現代日本文学を読みたくなるまで、またスランプに陥ったけど)。
 30代後半、公務員を辞めた後、翻訳者になるために2年勉強した。この間の大きな収穫といえば、数学と経済学の基礎を身につけ、英語とフランス語で時事と文学を読むようになったこと。
 こうして書いてみると、充電期間というにはあまりにみすぼらしい。高校時代から大学時代にかけて、どれだけ怠けていたんだという話である。逆にいえば、当時頑張っていたら、今頃はそこそこ偉い人間になれたのではないかと思う。しかし、誰にとっても10代後半から20代前半が向学心のピークであるという保証はないのだ。私の場合、一度働いてから大学に入った方が、結果を残せただろう。


 道元もノルマを決めずに気ままに読むことにした。