本の覚書

本と語学のはなし

『財務3表一体理解法』 〔12〕


●國貞克則『決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法』(朝日新書,2007年)

 財務3表一体理解法とは、財務3表が会社の一つひとつの活動を通してどのように作られていくのかを学んでいくものです。そして、この一体理解法では簿記や仕訳の知識はほとんど使っていません。しかし、最初に種明かしをしておくと、実は仕訳の仕事をせずに、直接、財務諸表を作っていく作業をしていくのが一体理解法の中身です。簿記や仕訳を知らなくても財務諸表を作ってしまえることがミソなのです。(18-9頁)


 実際には地道な仕訳作業があって、期末にそれを決算書にまとめるわけだが、この本では便宜的に、何らかの取引が発生した段階でその都度それを(簿記の段階を経ずに)財務3表に落とし込むという訓練をする。その際、常に財務3表がそれぞれ互いに関連し合っていることを確認する。
 財務3表が一体のものであるというのは著者が初めて発見したわけではないだろうけど、誰でも(簿記3級すら持っていなくても)財務3表を理解できるよう教育メソッドを創り出した功績は大きい。ちょっとした起業家気分を味わいながら学ぶことができるのもよい。
 簿記を学ぶ時間はないが決算書は理解したいという人はもちろん、目的もよく分からずに簿記を勉強している人にもお勧めの本だ。


 会計と簿記はもう少し深く学びたい。意外と面白い。