本の覚書

本と語学のはなし

『金融大崩壊』 〔11〕


●水野和夫『金融大崩壊 「アメリカ金融帝国」の終焉』(NHK出版生活人新書,2008年)
 経済危機本バブルの中、全部読み尽くそうとすれば経済的にも時間的にも負担が大きい。お金も時間もなくて1冊だけ選ぶというなら、この本でいいんじゃないかという気がする。よくまとまっていて読みやすい。今回の危機だけではなくて、アメリカ経済の歴史を概観することもできる(こういう本を読みたかったのだ)。
 日本は円高進行を阻止するため、アメリカの国債を買い続けた。アメリ投資銀行株式会社と手を携えた日本輸出株式会社。こうした構図がなければ、アメリカはサブプライムローン問題が発生するほどまで、住宅バブルを過熱させることはなかったかもしれない、と指摘している。これは、今日届いた野口悠紀雄『世界経済危機 日本の罪と罰』(ダイヤモンド社)と同じような認識であろうか。野口の本の帯にはもっと過激な調子の文言が躍る。「主犯アメリカに資金を提供し続けた“共犯者”日本。その結果として、この国を未曾有の大不況が襲う!」