本の覚書

本と語学のはなし

『L’étranger』


●Albert Camus『L’étranger』(folio
カミュ『異邦人』(窪田啓作訳,新潮文庫
 先月の内にほとんど終わり近くまで進んでいたのに、今月は全く文学の原典がはかどらなくて、ようやく月末に間に合わせて読了となった。
 作品についてはあれこれ言うことはない。何度でも読み返したい。
 翻訳について言えば、ちょうど英語の方で行方昭夫の『月と六ペンス』を読んでいるので、それとの対照が面白かった。行方は、時にやりすぎじゃないかと思うくらい、英文の読みを日本語の中に反映させることを翻訳者の仕事と考えている。窪田はなるべくフランス語の感触を日本語の中にそのまま移し込みたいと考えている。一般的な表現で言えば、前者が意訳、後者が直訳ということになる。
 なぜか『異邦人』の翻訳はこれきりしかないようだが、毛色の違う翻訳でも読んでみたい。新訳に期待だ。*1


 次に読むのは、モーパッサンの『ベラミ(Bel-Ami)』。翻訳は岩波文庫の杉捷夫のものを参照する。たぶん若干古いという印象を受けるだろうが、それもまた楽しみ。
 「ベラミ」というのは、杉によれば、「綺麗な小父さん」という意味。かつては「美貌の友」というタイトルで訳されたこともあるが、主人公のあだ名であるので、杉は敢えて日本語に移し替えず「ベラミ」で通す。
 長編なので、いったいいつ終わるのか見当もつかない。


L' Etranger

L' Etranger

異邦人 (新潮文庫)

異邦人 (新潮文庫)

*1:アンナ・カレーニナ』を読んだときも新訳を希望したが、実際に出てみるとわざわざ買う気がしない。だが、『異邦人』なら間違いなく買うだろう。

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