●門倉貴史『官製不況 なぜ「日本売り」が進むのか』(光文社新書)
モラルハザードやワーキングプアや年金問題など、官の駄目さ加減が羅列される。日本はひどいね、と暗い気持ちになる。
最後の章の「サブプライム問題と世界的なカネ余り」については、少なくとも日本の官が原因を作ったり、まずい対応をしたりという意味での「官製不況」とは関係がないようだ。しかし、日本は段々と取り残されていくんだろうな、という気分にはなってくる。
一つだけ心がときめいたのは、「ベーシック・インカム(基本所得)」という制度。全ての人が個人単位で最低限の所得を給付されるというもの。「ベーシック・キャピタル(基本資産)」の場合であれば、成人になったときに一律に同額の資産が給付されるので、寿命の長短による損得もなく、資産の使い勝手もよくなる。いろいろ問題はあるかもしれないけど、どこか実験的にやってみる国は現れないだろうか。
- 作者:門倉貴史
- 発売日: 2008/04/17
- メディア: 新書