本の覚書

本と語学のはなし

Die Verwandlung


 『変身』の池内訳。


Zwei Tage lang waren bei allen Mahlzeiten Beratungen darüber zu hören, wie man sich jetzt verhalten solle; aber auch zwischen den Mahlzeiten sprach man über das gleiche Thema, denn immer waren zumindest zwei Familienmitglieder zu Hause, da wohl niemand allein zu Hause bleiben wollte und man die Wohnung doch auf keinen Fall gänzlich verlassen konnte.


■二日間というもの、食事のたびに、これからどうすべきかが話題になった。食事のあいだにも同じことが話されていた。というのは、いつも二人以上が家にいたからだ。誰も一人きりで家にいたくなかったし、住居をまったく留守にすることもできない。


 「食事のあいだ」というのをどういう意図で訳したのかは知らないが、あいまいな表現である。普通は「食事中」という意味に取りたくなる。
 でも、「食事中」というのは、前の「bei allen Mahlzeiten」で言われていることだ。ところが、「zwischen den Mahlzeiten」には、それと対照させるかのように「auch」をつけて、こんなときにも同じことが話題になっているのだと言っている。その理由が、常に家に二人以上の家人がいたからとなっているのだから、これは「食事と食事のあいだにも」、要するに「食事以外の時にも」ということを言っているのではないだろうか。この場合の「Mahlzeit」が複数形になっているのは、そこから説明すべきことのように思える。
 たくさん翻訳が出ているので本当はそれらを参照しなくてはいけないのだが、不精なので、何が正しいか分からないまま、疑問だけをメモしておく。