本の覚書

本と語学のはなし

ボランティア

 人事課から退職関係の書類が届く。ところが、提出しなさいと書いてある書類が全部届いたわけではない。自由な様式でいいわけでもなさそうだ。入れ忘れだろうか。
 よく見ると、これは人事課の中のある係から来たものである。届いていない書類は別の係の担当だと思われる。その分はきっと別の封筒に入って後日届くに違いない。
 典型的なお役所仕事だ。
 そういう説明がないだけでなくて、何をどうしたらいいのか非常にわかりにくい。退職者は毎年確実にいるわけだから、毎年繰り返している仕事である。職員の中でも選り抜きの人たちが人事課に配属されているのだから、改善できないはずがない。この自治体は退職者に対して全く敬意を抱いていないということなのだろう。あるいは、市民感覚を持てと声高に言う当の本人が、一番そこから遠くにいるということなのだろう。
 私の小役人としての仕事を振り返ると他人を厳しく批判するようなことはできないのだけど、事務的な封筒一つで立腹することなど後にも先にもないだろうから、書き残しておく。


 係長から4月はずっと家にいるのかと訊かれた。
 「旅に出ます」とごまかしておいた。
 何とかしないと、本当に電話が来そうだ。4月のイベントにはボランティアのスタッフとして来てくれなどと本気で言い出しそうだ。冗談でなら既に何度も言われている。
 冗談じゃない。私は高いお金を出して時間を買ったのである。高い給料を貰ってる職員の怠慢の穴埋めをするために、ボランティアなんかしていられるかっ。