本の覚書

本と語学のはなし

『星の王子さま』

サンテグジュペリ星の王子さま』(池澤夏樹訳,集英社文庫
 初めて読んでみた。
 翻訳ラッシュになるような理由がよく分からない。『星の王子さま』でフランス語の勉強をしようという本もたくさんあるので、フランス語学生の最初の原書として選ばれることも多いのだろうか。原文は見たことがないが、きっとやさしいのだろう。
 ところが、加藤晴久『憂い顔の「星の王子さま」 続出誤訳のケーススタディと翻訳者のメチエ』(書肆心水)なんていう本が出版されている*1。やさしいようでいて案外躓くことの多い文章なのか、翻訳ラッシュのなかで任にふさわしくない人にまで声がかかってしまったのか。下世話な興味からついつい注文してしまった。本屋に届いたというので、取りに行かなくてはいけない。
 気になったのは、「飼い慣らす」という表現。ネット書店で見る限り、加藤の本の目次には、「飼いならす」とは「絆をつくりだす」ことというような項目もあるようだ。ここは楽しみにしたい。
 内容について言えば、王子さまが「すみません、ヒツジの絵を描いて」と言う辺りまでは最高に良かったのだが。


*1:この人には『自分で訳す 星の王子さま』(三修社)という本もある。