本の覚書

本と語学のはなし

【モンテーニュ】わたし自身がその姿勢の不安定さによって【エセー2.1】

Essais, Les作者:Montaigne, Michel DeImprint unknownAmazonエセー 3作者:ミシェル・ド モンテーニュ白水社Amazon モンテーニュ『エセー』第2巻第1章「われわれの行為のうつろいやすさについて」を読了する。 宮下志朗の翻訳も3冊目に入った。全部で7冊ある…

【モンテーニュ】誕生と暇な時間と修行に人生のあれほどの部分をさくべきではない【エセー1.57】

Essais, Les作者:Montaigne, Michel DeImprint unknownAmazonエセ- (2)作者:ミシェル・ド モンテーニュ白水社Amazon モンテーニュ『エセー』第1巻第57章「年齢について」を読了する。これで第1巻を終了する。 Il me semble que, considerant la foiblesse de…

【モンテーニュ】最近のあの企てに伴って危険や困難を引き受けよう【エセー1.56】

Essais, Les作者:Montaigne, Michel DeImprint unknownAmazonエセ- (2)作者:ミシェル・ド モンテーニュ白水社Amazon モンテーニュ『エセー』第1巻第56章「祈りについて」を読了する。 Ils m'en peuvent croire. Si rien eust deu tenter ma jeunesse, l'ambi…

【モンテーニュ】あの青春の日々の濃厚なキスも【エセー1.55】

Essais, Les作者:Montaigne, Michel DeImprint unknownAmazonエセ- (2)作者:ミシェル・ド モンテーニュ白水社Amazon モンテーニュ『エセー』第1巻第55章「匂いについて」を読了する。 Mais à moy particulierement, les moustaches, que j'ay pleines, m'en …

Newton 2024年5月号【天気と気象】

Newton(ニュートン) 2024年5月号 [雑誌]ニュートンプレスAmazon 第1特集は天気と気象。 気象現象を、似たような原理がはたらく身近な例で説明する。たとえば、積乱雲で生じるおそろしい突風は、コーヒーに注いだミルクが、カップの底で一気に横に拡がるのと…

【モンテーニュ】わが『エセー』は中間地帯で細々と生きていく【エセー1.54】

Essais, Les作者:Montaigne, Michel DeImprint unknownAmazonエセ- (2)作者:ミシェル・ド モンテーニュ白水社Amazon モンテーニュ『エセー』第1巻第54章「どうでもいいことに凝ったりすることについて」を読了する。 信仰においても、何事においても、一番上…

【モンテーニュ】われわれの欲求は煮え切らなくて【エセー1.53】

Essais, Les作者:Montaigne, Michel DeImprint unknownAmazonエセ- (2)作者:ミシェル・ド モンテーニュ白水社Amazon モンテーニュ『エセー』第1巻第53章「カエサルの一句について」を読了する。 Nostre appetit est irresolu et incertain: il ne sçait rien…

【振り返り】2024年3月

【読書】 ▼原典講読は以下のとおり。 ▼モンテーニュ『エセー』第1巻第47章「われわれの判断の不確実なことについて」の途中から第53章「カエサルの一句について」の途中まで。 ▼セネカ『生の短さについて』を終え、『心の平静について』の途中まで。 ▼プルタ…

【モンテーニュ】最高の地位にあったにもかかわらず一日五スー半【エセー1.52】

Essais, Les作者:Montaigne, Michel DeImprint unknownAmazonエセ- (2)作者:ミシェル・ド モンテーニュ白水社Amazon モンテーニュ『エセー』第1巻第52章「古代の人々の倹約ぶりについて」を読了する。 とても短い章。ヴィレの本では1ページにも満たない。 Il…

【モンテーニュ】雄弁が栄えたのは内戦の嵐に揺さぶられていた時期であった【エセー1.51】

Essais, Les作者:Montaigne, Michel DeImprint unknownAmazonエセ- (2)作者:ミシェル・ド モンテーニュ白水社Amazon モンテーニュ『エセー』第1巻第51章「ことばの空しさについて」を読了する。 L'eloquence a fleury le plus à Rome. lors que les affaires…

【セネカ】若者のように未来への希望を次々に抱懐し【生の短さ】

Moral Essays, Volume II: De Consolatione ad Marciam. De Vita Beata. De Otio. De Tranquillitate Animi. De Brevitate Vitae. De Consolatione ad Polybium. De Consolatione ad Helviam (Loeb Classical Library)作者:SenecaHarvard University PressAm…

エセー4/モンテーニュ

エセー〈4〉作者:ミシェル・ド・モンテーニュ白水社Amazon 第2巻第12章「レーモン・スボンの弁護」のみを収録。 モンテーニュはレーモン・スボンの『自然神学』という本を翻訳したことがある(1569年刊行)。私は持っていないが、入手は可能のようである。 …

【モンテーニュ】笑う能力がある(リジブル)だけにおかしなもの(リディキュル)【エセー1.50】

Essais, Les作者:Montaigne, Michel DeImprint unknownAmazonエセ- (2)作者:ミシェル・ド モンテーニュ白水社Amazon モンテーニュ『エセー』第1巻第50章「デモクリトスとヘラクレイトスについて」を読了する。 「心が事物にまとわせたものについて、われわれ…

【モンテーニュ】悪徳も美徳も力強い精神に発する【エセー1.49】

Essais, Les作者:Montaigne, Michel DeImprint unknownAmazonエセ- (2)作者:ミシェル・ド モンテーニュ白水社Amazon モンテーニュ『エセー』第1巻第49章「昔の習慣について」を読了する。 主として古代ローマの様々な習慣、とりわけかなり享楽的なそれが紹介…

【モンテーニュ】カエサルはスウェーデン族について【エセー1.48】

モンテーニュ『エセー』第1巻第48章「軍馬について」を読了する。 主に馬の話である。鉄砲などという飛び道具には信頼を置かず、いずれ廃れるのではないかという予想もしている。モンテーニュは、鉄砲が日本に伝来した頃の人である。 Essais, Les作者:Montai…

ガリア戦記/カエサル

ガリア戦記 (岩波文庫 青407-1)作者:カエサル岩波書店Amazon 7年にわたるガリアでの戦闘の記録。淡々と客観的に描かれており、カエサル自身について語るときも、「わたし」ではなく「カエサル」と三人称が使われる。 弁論にも長けていたと言われるが、文筆家…

【モンテーニュ】賛成だとか反対だとか話す権利はたっぷりある【エセー1.47】

Essais, Les作者:Montaigne, Michel DeImprint unknownAmazonエセ- (2)作者:ミシェル・ド モンテーニュ白水社Amazon モンテーニュ『エセー』第1巻第47章「われわれの判断の不確実なことについて」を読了する。 戦場での判断について、同じ戦略が正反対の結果…

メノン/プラトン

メノン (岩波文庫 青 601-6)作者:プラトン岩波書店Amazon 想起説は登場するが、イデア論には言及されない。中期著作群へあと一歩というところまできて、模索している作品のようである。 それにしても、私にはどうもプラトンの対話篇が肌に合わない気がする。…

エセー3/モンテーニュ

エセー 3作者:ミシェル・ド モンテーニュ白水社Amazon 『エセー』第2巻第1章「われわれの行為の移ろいやすさについて」から第11章「残酷さについて」を収める。 第4章「用事は明日に」では、アミヨによるプルタルコスの翻訳に触れている。 彼の翻訳のいたる…

【振り返り】2024年2月

【読書・語学】 ▼原典講読は以下のとおり。 ▼モンテーニュ『エセー』第1巻第39章(第38章)「孤独について」から第47章「われわれの判断の不確実なことについて」まで。 ▼セネカ『生の短さについて』。 ▼プルタルコス『どのようにして若者は詩を学ぶべきか』…

【モンテーニュ】自分の思いこみを死者に転移させ【エセー1.46】

モンテーニュ『エセー』第1巻第46章「名前について」を読了する。 いろんな野菜が入っていてもサラダと総称されるように、名前に関する様々な考察を一括りにして「名前について」という考察にまとめたものである。 たとえばアミヨがプルタルコスを訳したとき…

Newton 2024年4月号【能登半島巨大地震】

Newton(ニュートン) 2024年4月号 [雑誌]ニュートンプレスAmazon 予定を変更して緊急特集が組まれた。 能登半島で群発地震が頻発していたことは誰でも知っていることである。ところが、この辺りはプレートが沈み込む海溝であるため、海溝型地震として扱われ、…

【道元】撞(とう)の前後に妙声(みょうしょう)綿々たるものなり【辯道話】

道元禅師全集: 原文対照現代語訳 (第1巻)作者:道元,水野 弥穂子春秋社Amazon ただ坐上の修しゅのみにあらず、空くうをうちてひびきをなすこと、撞たうの前後に妙声めうしやう綿々めんめんたるものなり。(p.11) ただ坐禅修行のときだけではなく、空くうを打っ…

【モンテーニュ】冷静に議論しようとする人は【エセー1.45】

モンテーニュ『エセー』第1巻第45章「ドルーの戦いについて」を読了する。 ドルーの戦いとは、第1次宗教戦争のときに、パリ西方80キロの町ドルーで行われたカトリックとプロテスタントとの戦闘のこと。 カトリック側では、モンモランシー元帥が窮地に陥る中…

【モンテーニュ】出陣のまぎわになっても熟睡していた【エセー1.44】

モンテーニュ『エセー』第1巻第44章「睡眠について」を読了する。 アレクサンドロスや小カトーのように、戦闘の前や命の危険があるときにも、平然と眠ることのできるほど肝のすわった英雄もいる。 一方、小心や憔悴のために、戦いの前に、あるいは戦闘中にさ…

パイドロス/プラトン

パイドロス (岩波文庫 青 601-5)作者:プラトン岩波書店Amazon セネカとプルタルコスの全作品を読破したいところだが、無職のため本の購入を控えているところであるから、しばらくは手元にあるギリシア・ローマの古典を読むことにする。 プラトンでは、しばし…

【モンテーニュ】王様然としていばりくさっている小者【エセー1.43】

モンテーニュ『エセー』第1巻第43章「奢侈取締令について」を読了する。 奢侈取締令はモンテーニュの頃に何度か出された華美を禁ずる法令であるが、宮廷人が贅沢をやめなかったために、効果は上がらなかった。 まず王侯から質素な身なりをすれば、それが自ず…

エセー2/モンテーニュ

エセー 2作者:ミシェル・ド モンテーニュ白水社Amazon 第1巻第26章から第57章まで収録。これで第1巻は終わりである。 宮下志朗はラブレーと同時進行でモンテーニュを翻訳していた。信じがたいことである。過密なスケジュールのせいかどうか知らないけれど、…

【モンテーニュ】竹馬を外して身長を測らなくてはいけない【エセー1.42】

モンテーニュ『エセー』第1巻第42章「われわれのあいだの個人差について」を読了する。 人間同士の間の個人差は、人間と動物との差よりも大きいのではないか、とモンテーニュは疑う。 もっともこれは賢人と愚者との差異のことであって、王侯と庶民の間には取…

サテュリコン/ペトロニウス

サテュリコン: 古代ローマの諷刺小説 (岩波文庫 赤 122-1)作者:ガイウス ペトロニウス岩波書店Amazon ペトロニウスの『サテュリコン』とセネカの『アポコロキュントシス』を収録。この2人は、ともにネロの時代に生き、ともにネロに強いられ自殺したのである…