本の覚書

本と語学のはなし

TIME March 13, 2017

Time Asia [US] March 13 2017 (単号)

Time Asia [US] March 13 2017 (単号)

  • 発売日: 2017/03/04
  • メディア: 雑誌
 編集長 Nancy Gibbs より。

TIME will not attend regular daily briefings if the White House is excluding some reporters, a stance shared by other news outlets, including the Wall Street Journal and Bloomberg News.

 CNN やニューヨーク・タイムズが取材から排除されたことへの抗議である。

Famine, in technical terms, doesn’t just mean people are going hungry. It means they are already starving to death―two adults or four children a day per every 10,000 people. So by the time famine is formally declared, millions have already been suffering, perhaps for years: humanitarian agencies like Oxfam first warned about a looming famine in South Sudan back in March 2015. The last time famine was formally declared, in Somalia in 2011, most of the 260,000 victims had already died.

 国連は南スーダンで飢饉が発生したと宣言した。6年ぶりの宣言である。イエメン、北部ナイジェリア、ソマリアなども飢餓の淵にあり、今後も同様の声明がなされるかもしれない。
 だが、飢饉が宣言されたときには、既に遅すぎる。テクニカル・タームとしての飢饉とは、1万人当たり大人2人もしくは子供4人が日々餓死している状態を指すのであって、決して単に人々が食糧不足に苦しんでいるというだけのことではないのだ。

ヨルダン・シリア 聖書の旅/牛山剛、写真・横山匡

 聖書の舞台は現在のイスラエル領内に限られるわけではない。新約ではキリストの民はトルコから地中海方面へと進出していくし、パウロ目から鱗が落ちたのは今のシリアであったし、旧約時代、ヨセフはエジプトに売られてかの地で地位を得たのだし、かの地で増えたヘブライの民がモーセに率いられて到達したのは今のヨルダンであって、モーセの死後彼らはヨルダン側からヨルダン川を渡ってイスラエルの地に侵入したのである。
 だが、なかなかそれらの地を観光できるものではない。仮にお金と時間があったとしても、殊にシリアやヨルダンなどはほとんど素人の行ける所ではないし、今のシリアは危険すぎるだろう。
 そんなわけで、我々にとっては貴重な写真と紀行文である。ただし、旅の臨場感がじかに伝わってくるという点では、前に読んだ『トルコ・ギリシア パウロの旅』の方がはるかに優れているようだ。


 古本で買ったらヨルダンの入国審査カードが挟まっていた。ペトラ遺跡のところに緑の蛍光ペンで線が引いてあったので、実際に見に行ったのかもしれない。
 名前を検索すると、昨年亡くなった偉い牧師の方であった。聖書を学ぶ学校の学院長をする傍ら(もしくはその仕事の一環として)、聖書の世界に幾度も実際に旅していたようだ。

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新世界カトリック教会史/トマス・ボーケンコッター

 カトリックのリベラル派が書いた教会史。
 第二バチカン公会議カトリック・リベラル派の歴史的な勝利であったのかもしれないし、多くのカトリック信徒は既に進歩的な価値観を持っていると思われるが、カトリック教会というのは基本的に保守的な組織であって、ちょっとやそっとでその根本的なところは変わらないのではないか。私のように教会を飛び出した人間が、あえてカトリックに復帰する意味はあるだろうかと、考えさせられた。
 なお、この本の最後のあたりに何度か登場する保守派の棟梁ラッツィンガーとは、後に教皇となり、中世以来初めて生前退位というものが可能であることを世に示したベネディクト16世のことである。

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